取り扱い要・要・要注意!モルフォ蝶の青い羽

青のモルフォ蝶に白旗を揚げた朝

 
青の羽の記憶の始まりは、50年前。
祖母が母にプレゼントした、青いブローチ。

 
蝶の羽のブローチ

 
「ほんものの蝶々の羽が入っているんだよ」って聞いた。
それは幼心に不思議で、とてもとても大切ななにかに見えた。
宝石よりももっと、大切な「何か」です。
たぶん、青に紫、緑を浮かべる色をもつ、天からの授かり物のような生き物が地球にはいるのだと知った事と、
そんなにお金持ちじゃなかった我が家で苦労していた母が、アクセサリーをプレゼントされたという、
あったかくて、やさしい出来事です。

 
それはモルフォ蝶という美しい蝶なのだと知りました。
いま、アクセサリーを作る立場で、この手でモルフォの青でひとつ仕立てたい。
それができる、と思ったのです。

 
手のひらサイズのモルフォ蝶の翅

 
モルフォの翅を扱うかたをひとり、日本でみつけて
送っていただきました。
じつは、わたくし、「ga」が嫌いで、もう漢字で書くのも怖いほど。
蝶はきれいだから大丈夫・・・とはおもうものの、
ちょっぴりドキドキでした。

 
モルフォ蝶の羽のサイズ
 
おっきい!
モンシロチョウが2~3cmということで大体の目安を描いてます。
美しい・・・けど、正直、これを切ったり貼ったり、触ったりしなきゃいけないと思うと、ちょっと覚悟がいる。
昆虫標本の独特の臭いもあるし。。。
でもその苦手感を美しい青が凌駕する。
おばあちゃんのブローチの記憶が意欲をかき立てる!
めっちゃおおげさw。(そのくらい苦手なんですぅ・・・><)

 
ガラスドームやガラスロケットを置いて、イメージを広げてみます。

 
モルフォ蝶の翅

 
おお、絵になるねぇ。
裏は見ない。目玉模様でgaっぽいから。裏はないことにする!こわい。
制作プランとしては、
いつものように、
翅に接着できるコーティング剤「グレーズ」をおとし、ガラスドームをのせて、固化したところで切り抜く。
イージー。

 
かんたんカボション作り、おさらいしましょう。このやり方ですね。

 
ダイヤモンドグレーズ

 
竜騎士のスナップボタン作り②

 
しかし・・・ここから驚愕と失望と困惑の地獄が始まるのであった・・・・。

 
青が消えた!

 
モルフォ蝶のはねでカボション(失敗)

 
翅にダイヤモンドグレーズを落とし、慎重にガラスをのせる。
そこにあの青はなく、グリーンと濃いブラウンパープル!
なんで?なんで?欲しいのはあの、青なのよ。
しかも待てど暮らせど乾かず、
裏に返せばよいのかも、と手をぷるぷるさせながら手にとると、
案の定、翅がよれてしわ、あるいは破れる。
よれただけならば慎重に伸ばせばいいけれど、破れはいかん。
もう、このときは、羽きもちわるい、などといっていられないほど、必死。

 
では、レジンで覆ってみようと別の一枚をきりとってフレームにおさめてみる。
この「切り取り」がまたむずかしい。
ちょっといいはさみを使っていますが、それでもはさみをいれると
ちぎれる、まっすぐならない、バリバリ音が立つ(ギャーー)。
デザイナーズカッターを使うべきかもですが、いま交換刃きらしてる。
なんとかいれてレジンコーティング。

 
ダメだった。

 
モルフォ蝶の羽の扱いに失敗

 
長方形のフレームのものがレジンですが、まったく茶色。
おおきな35ミリガラスのものは破れたので裏から羽の欠片を追加したら、そこだけ色違い。
12ミリのものはただの紫。

 
失敗!

 
そうか、レジンやコーティング剤は青を消すのか。学んだ。
ごめんね、蝶々。せっかくの翅を無駄にした。
おばあちゃんのブローチはなぜ、青のままなんだろう・・・
 
青を失ったよれよれの翅、ちぎれた羽に呆然としながら、
むずかしい素材に白旗を揚げる。

 
なんとかしたい。
接着せずにガラスで覆う方法、
手持ちのもので考えつくのは、爪つきのセッティングをつかう、それしかないのか・・・・。

一矢

 

 
リアルモルフォ蝶のピアス

 
12ミリの爪パーツ。
これより一回り大きく切った翅をのせ、
上から垂直にガラスドームを押し込む。
翅はパリッと乾いた音を立てる。
はみ出した翅を丁寧に取り去り、
翅やガラスがずれないように押さえながら、爪を折り込む。
接着されていないので、羽やガラスがずれないように、慎重に。丁寧に・・・。

 
青は青のまま生きている。

 
モルフォよ、君のブルーは活かせられただろうか。

 
モルフォ蝶の青色の秘密

 
このメタリックな青の秘密は鱗粉の構造にあるそうです。
また、液体の種類によって青の見え方が緑や紫、茶に変わってしまう理由もわかりました。
Youtubeにおもしろい解説がありましたから、リンクを貼ります。
英語ですが、だいたいわかります。

 

Blue Butterfly Wings in Liquid Nitrogen

 
アニマルウェルフェアについて

 
蝶や鳥の羽、馬の毛など、生体をもとにした素材は海外に求めることが多いです。
商品紹介の一文に、必ず

 
「わたしたちは動物(あるいは蝶)を傷つけていません。」

 
と、あります。
鳥の羽ならば「自然に落ちたもの」であったり、
蝶は「蝶飼育ファームで自然に命を終えたもの」から採取している、ということです。
馬の毛は「毛刈りをして余ったもの」になります。
これら生命体のありのままの「幸福な」生き方を尊重する「飼育」をアニマルウェルフェアといいます。

 
今回のモルフォの羽は、扱いが日本の方で、その記載がありませんでしたが、
他にも蝶を扱っていらっしゃるので、たぶん、輸入元はアニマルウェルフェアにのっとったものだと信じています。
その意味で、生きたまま毛を皮ごとこそぎとるミンクファーやラビットファーは許されるものではなく、
DOLPOはそれらを扱いません。

 
日本はまだアニマルウェルフェア後進国です。
肉をとるための牛は「放牧禁止」などと、信じられない法律を作ろうとしたほどです。
(あの薄暗く、ひどい臭気の数平方メートルの囲いの中で一生を暮らすんだ!)
畜産に携わる方もそれを本当に希望するんだろうか。
法律の「理由」はあまりにもニンゲン勝手に感じますが、それは「素人考え」なんだろうか。
幸いなことに、この法律はおおくのパブリックコメントにより、撤回されました(6月)。

 
モルフォは神秘の美しさを感じさせると同時に
アニマルウェルフェアのことも考えさせてくれるのでした。

 


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