億千万年の割符~時を閉じ込めた石・シャリグラム
聖石・シャリグラムに見た夢~「永遠の絆」或いは「時を超える信頼の符」
人は昔から、互いを確かめるために「割る」ことを選んできました。
二つを合わせたとき、初めて意味を持つもの。
その仕組み、どこか不思議で、美しく感じられる・・・。
ヒマラヤの水を集めたネパール・ガンダキ河川床から採取される「シャリグラム」。
ころんとまるい黒いノジュール(塊)。
アンモナイトの化石を内包し、アンモナイトは節理となってそこで二つに割れる。
そしてひとつに合わせることができるのです。
これって、まるで自然の「割府」。
海の底より天の頂に隆起するまでの億千万年という、とんでもない時間のスケールで出来上がった・・・。
太古の海底で起こったこと
死んだアンモナイトが海底の泥に埋まる。
その殻や内部の有機物がきっかけとなって、周囲の泥に含まれる鉱物が結びつきやすくなり石化してゆくのです。
雪だるまをこしらえるように、泥のついたアンモナイトが転がって大きくなっていったのではなく、
水の中で、静かに、結晶が育つように、石となっていったのです。
酸素の少ない海底に確かに生命があって、毅然とした化学もあって、
それらが合わさったところにできた石を「黒色頁岩(こくしょくけつがん)」っていうのです。
ロマンですね。ファンタジーですね!
でも、
シャリグラムはあくまでも「アンモナイトを含んでいる」「アンモナイト由来の構造をもっている」というところがスペシャルなのです。
シャリグラムの本質
でもガンダキでみつかる黒くてコロンとした石がどれもこれもアンモナイト含有、というわけじゃないかもしれないよね。
逆に、見えていないだけでほんとうはシャリグラム、ということもある。
これは ■形状(まるみ) ■表面の模様(チャクラと呼ばれる渦や溝) ■産地・文脈・・・・で
内部にアンモナイトが含まれると考えられるものはシャリグラムとして扱われるのだそうです。
一方で 割っても、断面を見ても、化石由来の構造がみられず、ただの黒色頁岩の塊であった場合、
これは学術的にも伝統的にもシャリグラムとは呼ばないということです。
価値の有無ではなく、別物・・・ということなのです。
核となる存在がなければ、ただの石に戻るのだね。
節理がつくる唯一無二の割符
岩石には「節理」という「そこから割れる」「われやすい」境目、といえるものがあります。
それが出来上がる過程の圧力や乾燥、冷却、異質なものが合わさった内部構造などによります。
間違えやすいのが水晶や大理石のような単一鉱物が決まった方向に割れる「劈開(へきかい)」。
シャリグラムは岩石の集合体なので「劈開」とはいわないのです。
空洞、層を抱えたアンモナイトとそれを核ににして固まった黒色頁岩。
抵抗の少ない「線」が選ばれて 二つに割れた。
「節理」。それはその個体の内の唯一無二の運命の線。
シャリグラムが二つに割れるのは、あらかじめ用意されていた分かれ道があったからなのだ、といえるのですね。
人が作った割符は、人の一生を超えません。
けれどこの石の割符は、人類の歴史そのものよりも古い。
この石は、身につけるためのものではありません。
手のひらに置き、時の重さを感じるための石です。
誰かと分かち合うのもいいでしょう。
ひとりで、たまの折に、
開いて、閉じて、
カチリと小さく乾いた音とともに、過去を想うのも よいかもしれませんね。
