東京 浅草一丁目一番地・神谷バー
昭和レトロのアナログスペース 浅草・神谷バー
浅草は神谷バー。
おひとりさま2杯まで(夫、若かりし頃の話)という酒、「電気ブラン」とは?
想像した。電気→合成→密造酒→怪しい・・・・。
違った。
浅草一丁目一番地一号のランドマークになる老舗酒場。
このところ、どんどん狭くなっているパーソナルスペースなんて、ここには無縁じゃないかと思う。
大きなテーブルに知らない者同士が同席する。
老若男女問わず、それぞれ旨い酒と旨い料理を前にして談笑している。
実際、わたしたちのとなりはかなり年かさのご夫婦だった。
明るいスペース。ありがちなBGMもなし。
注文は「食券」で。
最初は入り口のカウンターで購入し、追加注文はテーブルで行う。
さて、その電気ブラン。
ショットグラスにたっぷり注がれた、まったり濃い琥珀色の液体が水のグラスといっしょに供された。
口に少しつけただけで、ぶわぁっと蒸発する感じのアルコール!
これをちびるようにゆっくりいただくのだ。
ゆっくり。
だから時間もゆっくりになり、談笑もできる。
つまみはすこしでいい。
半分ほどになると、グラスの水を足して割る。
こんどは酒の旨味がぐっと感じられる。
少し甘い。
ブランというのはブランデーのことなのだそうだ。
高級でなかなか手の出ないブランデーを大衆も楽しめるようにしたブランデー風、といったところか。
画像、手にしているのが電気ブラン。
サクランボ乗せは電気ブランサワー。
その奥のワイングラスは「ハチブドー酒白」。
「ハチブドー酒」は甘く、ポートワインを思い起こさせる。
人同士が「語り合う」という言葉がここには似合う気がした。
隙あらばスマホの向こうに目を向ける娘たちも、
まったく、それを忘れているかのようだった。
店の表に電気ブランもハチブドー酒も販売していた。
お土産に、買い求める。
瓶の裏の文言はちょっとした酒の物語。ゆっくり読むのは おすすめだ。
「夢のカクテール」と呼ぶのはそれだけで浪漫を感じさせる。
電気ブランの「電気」とは、目新しいものの象徴として選んだ言葉で、
電気分解して合成した、というようなものじゃないことも分かった(ナルホド・・・)。
それはなにか、ほほえましく、当時の人々の純情を感じた。