バリ島のみみずくのお箸

今は昔、スミニャックはそれはそれは静かなところだったのです

 
30年前も前の話。
大昔ですな。
にぎわうクタをパスして少し西北にいったスミニャックは
普通の田舎でした。
定宿から林を抜けるとビーチにでます。
いまや高級ホテルやカフェが立ち並ぶと聞きますが、
当時は道端に万事屋程度で、そこでウルトラミルクとパンを買ってお弁当にしたものです。
夜になるとどこかの集会所からガムランや笛の練習をするのが聴こえる。
静かで、「いい暗さ」のあるエリアでありました。

 
あのころは、まだ物々交換の楽しみがあって、
バリ行きの際には、「日本製」としるした下着とかキャラクターグッズを用意して持参してました。
物々交換だけでなく、なにかのお礼やちょっとしたコミュニケーションをとる時に役立ちました。
とくにわたしは小さな子をつれていたので、(上の娘、当時4歳、二人旅)
地元のお母さんたちとよく話をする機会があって、
「ごはんたべにいらっしゃい」などと招かれることも多かったのです。
あまり高級な恰好もしていないし、なんか 安心感持っていただいてたみたいです。

 
バリ島の「今」はあちらこちらのサイトで見ることができますが、
こんな昔話、たまに綴ってみますので、よろしかったらお付き合いください。。。。。

 
みみずくのお箸

 
娘がどこかよその子と遊んでいるのを見ながらビーチでまったりしていると
両肩にたくさんおみやげものを下げた行商が近づいてくる。
人が少ないから、狙い、定められた。
こちらもアイテムは十分だ!さあ、こい!・・・これが楽しいのです。
よく、べらぼうな値段をふっかけてくる、といって疑心暗鬼になっちゃうようですが、
たとえば、バリの銀細工などは繊細で手が込んでます。
よく見て、ちゃんとした対価を出す気持ちを忘れないでいればいい。
がらくたもあります。けど、おもしろい!とおもえば、買えばいいんです。
その際にちょっと値段交渉してみる。
向こうもその気だからだいたい半額から三分の二程度までは安くしてくれます。

 
その日の売り物のメインは木彫りの雑貨。
彩色したバナナとか猫とか蛙とか神様だとか・・・
残念ながらすでに持っていたり、いまいちだったので
ごめんね、今回はパス。
その時、彼(まだ若い行商さんだった)が
わたしの傍らにあった使用中のキティちゃんのハンカチを見つけた。
「娘に欲しいんだが、これと交換しないか」といって差し出したのが
黒檀の箸箱。
中に、ちょっとおおざっぱだけれど、みみずくの彫りを施したお箸。
箸箱も底以外に装飾。

 
バリのお箸

 
バリ島のお箸

 
おもしろーい!!

 
そんな使用中のじゃなくて、こんなんありますけどぉ!
って、持ってきていたキティちゃん(タオルとか下着とか)全部渡して交換した。
若いお父さん、すごく喜んでくれた。
わたしも、とってもうれしい!
ほんとにこれで見合っているのか、ちょっと申し訳ないくらい。
これを作るのにどれだけの労力があったか・・・。
30年前の、まだのほほんとした時代の話です。

 
以来、ずっと大切にしてきました。
お箸も、思い出も。

 
お箸というよりかんざし

 
端は先が丸く、「つまむ」にはちょっとむずかしい。
これじゃ、魚の骨、とれないよ?ってかんじ。
何に使うんでしょうね、祭事用かな・・・
ともあれ、このお箸を食事には使えない、使いたくない。
だからといって、しまいこんだままではもったいない。

 
というわけで、かんざしを作ってみた。

 
バリのお箸とガーネットのかんざし

 
バリのお箸とガーネットのかんざし

 
ガーネットと真珠を房にしてつけてみた。
・・・重い・・・ガーネット、めっちゃ重い。
それこそインドネシアの女性の豊かな髪を巻きあげた時に使えるかなぁ、ってくらい。

 
もうひとつ、キリムのサコッシュのフラップにつけてみた。
これはショップで販売してます。

 
キリムのサコッシュバリのお箸とグリーンオパール飾り

 
キリムのサコッシュバリのお箸とグリーンオパール飾り

 
お箸にぶら下げたグリーンオパールを重りにして、パタンと飾りフラップをかぶせる仕様。
東南アジアと中東の融合!ちなみにグリーンオパールはアフリカ。
うぅぅん♪エスニック風味!!

 
いまこれを書いているとき、
箸箱は机の上にあって、
眺めるたびに、なんとなく、幸せな気持ちになるのでした。


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